具体的な古物の対象物について、もうすこし詳しく知りたい。
自分が取り扱う物品は、どの区分に当てはまるのか知りたい。
① 古物商とはなにか?古物商許可証は必要?でも簡単に解説しましたが、古物には法令上細かい区分が存在しています。
古物商許可の取得を考えている方にとっては、「取り扱う古物の種類」を申請する必要がありますので、「区分」について決定しなければなりません。
今回の記事では、古物の定義について、古物営業法、古物営業法施行令や古物営業法施行規則などから古物の区分や除外品についてもくわしく解説していきます。
1.古物の定義
古物についてはコチラでも解説したように、3つの定義がされています。
- 一度使用された物品
- 使用されない物品で使用のために取引された物品
- これらの物品に幾分の手入れをしたもの
これらの内容について細かく見ていきましょう。
一度使用された物品
一度でも使用されたものが該当します。
ここでいう「使用」とは、本来の用法に従って使用することとされています。
例えば、衣類であれば着用すること、自動車であれば運行の用に供すること、
美術品であれば鑑賞すること、商品券であれば交付して商品と交換することなどです。
イメージとしては、普通に使われた中古品ということでしょう。
使用されない物品で使用のために取引された物品
本来の目的で使うつもりで購入し、使用されていないものが該当します。
これは自分だけでなく、他人に使用させる目的のものも含みます。
例えばプレゼントするつもりで買った商品券や食器セットなどは、渡していなくとも古物になってしまいます。
店舗などから使用目的で消費者の手に渡った物品は、未使用でも古物に該当します。
これらの物品に幾分の手入れをしたもの
「幾分の手入れ」は、本来の性質、用途に変化を及ぼさないで修理等を行うことをいいます。
例えば、絵画であれば表面を補修すること、刀であれば研ぎなおすことなどです。
使用目的は変わりません。中古品や未使用品の修理品や整備品も古物であるとされています。
反対に本来の性質、用途に変化を及ぼす場合とはどのようなものでしょうか。
一例として、仕入れた着物に手を加えて手提げ袋などを作成し、販売する場合は、用途に変化を及ぼしているので古物に該当せず古物商許可は不要となります。
いかがでしょう。簡単なようで複雑な古物の定義について理解いただけましたでしょうか。
古物営業の定義が絡んでくると、より複雑になって判断が難しくなるケースもあります。
【番外】古物営業についてもっと詳しく
2.古物の区分
古物は古物営業法施行規則により「区分」されています。
これに当てはまる古物を取り扱う場合に古物商許可が必要となってきます。
1.美術品類
古物商名:美術品商
分類の基準:美術的価値を有する物品
例・・・絵画、書画、彫刻、工芸品、登録刀剣、登録火縄銃
2.衣類
古物商名:衣類商
分類の基準:繊維製品、皮製品等であって、身にまとうもの
例・・・和服類、洋服類、その他の衣料品、布団、帽子、敷物類
3.時計・宝飾品類
古物商名:時計・宝飾品商
分類の基準:主として、時計としての機能を有する物品、眼鏡(サングラスを含む)、宝石、貴金属その他そのものが外見的に有する美的特徴や希少性によって嗜好され、使用される飾りもの
例・・・時計、眼鏡、コンタクトレンズ、宝石類、装飾具類、貴金属類
4.自動車(その部品を含む)
古物商名:自動車商
分類の基準:自動車及び自動車の一部品として使用される物品
例・・・タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラー他
5.自動二輪及び原動機付自転車(その部品を含む)
古物商名:オートバイ商
分類の基準:自動二輪車、原動機付自転車及びこれらの一部品として使用される物品
例・・・タイヤ、サイドミラー他
6.自転車類(その部品を含む)
古物商名:自転車商
分類の基準:自転車及び自転車の一部品として使用される物品
例・・・かご、カバー他
7.写真機類
古物商名:写真機商
分類の基準:プリズム、レンズ、反射鏡等を組み合わせて作った写真機、顕微鏡、分光機等
例・・・カメラ、レンズ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、光学器
8.事務機器類
古物商名:事務機器商
分類の基準:主として、計算、記録、連絡等の事務に用いるために使用される機械及び器具(電気により駆動するか、人力により駆動するかを問わない)
例・・・レジスター、タイプライター、パソコン、ワープロ、コピー機、ファックス、計算機
9.機械工具類
古物商名:機械工具商
分類の基準:生産、作業、修理のために使用される機械及び器具一般のうち、上記3.,4.,5.,6.,7.,8.に該当しない物品
例・・・電気類、工作機械、土木機械、化学機械、工具、ミシン、20t未満の船舶(ジェットスキーを含む)、医療機器、家庭電化製品、家庭用ゲーム機、電話機他
10.道具類
古物商名:道具商
分類の基準:他の分類に該当しない物品
例・・・家具、楽器、運動用具、ゲームソフト、CD、DVD、玩具類、日用雑貨、トレーディングカード、組立式プレハブ他
11.皮革、ゴム製品類
古物商名:皮革・ゴム製品商
例・・・鞄、バッグ、靴、毛皮、レザー製品
12.書籍
古物商名:書籍商
13.金券類
古物商名:チケット商
例…商品券、乗車券、郵便切手、航空券、興行場等の入場券、収入印紙、オレンジカード、テレホンカード、タクシークーポン、高速道路の回数券、ハイウェイカード他
上記の13区分から、主に取り扱う古物の種類を選択して、古物商許可を申請する必要があります。
メインで選んだ区分によりプレートに記載される古物商名が決まります。
主に取り扱う古物の種類以外も取扱区分として申請は可能ですが、申請時に質問などを受ける可能性はあるので、専門分野に絞って記載したほうがよいでしょう。
3.古物除外品
一見すると古物の定義に当てはまりそうでも除外される物品もあります。
主に盗品として出回りにくい理由のあるものが該当します。
大型機械類
・船舶(総トン数が20トン以上)
・航空機
・鉄道車両
・重量が一トンを超える機械で容易に取り外すことができない状態で固定されているもの
・五トンを超える機械で自走やけん引ができないもの
これらは移動が困難なため、盗品売買される可能性が極めて低いとされているからです。
その他の除外品
消費者の手に渡っていても、消費して無くなるものや原材料になるもの、再利用せずに捨てられるものも除外されます。
消費して無くなるもの
例・・・化粧品、薬品、食品 など
原材料になるもの
例・・・空き缶、古新聞、金属原材料 など
再利用せず捨てられるもの
例・・・廃品、ごみ など
上記物品を取り扱う場合は古物商許可は不要です。
4.まとめ
今回は、古物の定義と法令上の区分、除外品について解説いたしました。
内容は細かくなりましたが、特に区分については申請時に必要な項目です。
- 古物は一度使用されているものや、新品でも使用のために取引されたもの、又はこれらに幾分の手入れをしたものである
- 法令上の古物の区分は13種類あり、申請には取扱区分を決定しなければいけない
- 古物のようでも除外される物品も存在する