「古物商」や「古物商許可」という言葉を聞いたことはあるけどはっきりわからない。
自分のやってることは、古物商許可が必要なのかどうかわからない。
このような状態でオークションやフリマに参加している人も多いのではないでしょうか。
古物商許可が自分に関係があるかわからないので、そのままにしている。
それって、本当に大丈夫なのでしょうか?
結論から申し上げると、現在の取引が違法とみなされ処分や処罰がなされることもあります。
そのような事態を避ける為にも古物商許可が必要なのか不要なのかは、適切に判断をして対応をしなければなりません。
このブログでは古物商の取得を考えている方むけに、申請や手続をするうえで必要な内容をメインに取得後の実務にも役に立つ情報を解説させていただきます。
2024年の法改正に対応しており、申請関連は番号順に読んでいただければご理解いただけるよう記載しております。
メインとは別に細かい説明は【番外】で記事にしておりますので、ご興味があれば一読ください。
第一回目は、古物商許可申請が必要か判断していただくための基本語句の説明や、この制度が許可制である理由を解説をします。後半は具体的に例を挙げながら、古物商許可が必要な場合と不要な場合を解説いたします。
1.古物商とはなにか
そもそも、古物商とはなんなのでしょう?
古物商と聞くと、なんとなく骨董品や中古品を扱う商人を思い浮かべる人が多いと思われますが、そのイメージはおおむね正しいものといえるでしょう。
もう少し細かく古物商をあらわすと「許可を受けて古物営業をする者」になります。
これだけだとちょっとイメージしがたいので、キーワードに注目してみましょう。
古物商 = 「許可」を受けて「古物営業(古物で営業)」をする者
「許可」はもちろん古物商許可です。
では、許可が必要な「古物」と「営業」とは何でしょう。
実は、この2つのキーワードを理解すれば古物商許可が必要かの判断が容易になります。
まず、「古物」とはなんでしょうか。古物営業法には次のように定義されています。
- 一度使用された物品
- 使用されない物品で使用のために取引された物品
- これらの物品に幾分の手入れをしたもの
中古品、使おうと買ったけど使ってない新品、修理や整備したような品があたります。
少し意外なのは、新品でも使用目的で買われた瞬間から「古物」となるところです。
次に古物商の「営業(古物営業)」については、下記のような行為が該当します。
- 古物の売買
- 古物の交換
- 委託を受けて古物を売買
- 委託を受けて古物を交換
古物を仕入れてきて売る、物々交換する、買主や交換主を見つけて手数料を取るなどです。
古物の取引で反復継続的に利益を得ようとする営みも該当するようです。
「古物」と「古物営業」について、なんとなくでもおわかりいただけましたでしょうか。
後半では例外も含め、具体的な例を挙げて解説をさせていただきます。
2.古物商許可制度がある理由
具体的な例を挙げる前に、なぜ古物商という制度があるのか簡単に解説したいと思います。
その理由を知ると、古物商や今後の申請についても理解がより深まります。
この制度は、盗品売買と窃盗等の犯罪防止や被害の迅速な回復を目的として制定されました。
なぜなら、古物の取引は盗品の換金に利用されやすい性質を持っているからです。
そこで、古物の取引を許可制にして盗品流通の防止や返還をスムーズに行おうとしているのです。
このような理由から、古物の売買等には古物商許可の取得が義務づけられており、所在地を管轄する警察署を窓口として、都道府県公安委員会に対して申請する必要があるのです。
違反者には最大3年以下の懲役又は百万円以下の罰金という重い刑罰が科せられるのです。
【番外】許可を取らずに営業してるとどうなる?
3.自分は古物商許可を取る必要はある?
ご自身の取引で古物商許可が必要かの判断がつかず、不安な人は多いと思います。
ここでは、古物商許可が必要な場合と不要な場合の具体例を挙げて解説していきます。
古物商許可が必要な具体例
古物を買取って商売をする場合は、典型的な古物営業であり古物商許可が必要です。
中古品などを買い取って販売するのは一般的なので、古物商許可を検討されてる方も多いのではないでしょうか。
買取により古物商許可が必要な例
- 古本を買って売る
- 壊れた時計を買って修理して売る
- 中古バイクを買って部品を売る
- 中古車を買い取ってレンタカーとして貸す
買取ではありませんが、次の取引も古物営業とされ古物商許可が必要とされています。
- タブレットを下取りして、パソコンをその分値引いて販売する
- スマホを別のスマホと交換する
- レアなカードの買主を探し、売れたら手数料をもらう(委託販売)
買取など盗品の換金手段となる取引は、古物商許可が必要とされているのがわかります。
古物商許可が不要な具体例
古物商許可が不要な具体例は、対象が古物に該当しない、もしくは取引が古物営業に該当しないという特徴があります。
古物商許可が不要な例
- お店で新品のガンプラを購入して転売する
⇒転売目的で購入した新品なので古物に該当しない - リサイクルショップで買った香水を販売する
⇒化粧品や食品など、消費して無くなるものは古物に該当しない - 自分で使っていたカバンが不要になったのでオークションで売る
- 相続で貰った宝石を買い取ってもらう
⇒どちらも古物だが、買取がない売却なので例外的に古物営業に該当しない - 海外で買ったアンティーク家具を販売する
⇒保護される古物は国内で取引されたものに限定される
店舗から仕入れた新品の転売や消耗品の類、自分で使っていた品、無償の譲渡品の販売は、盗品である可能性が少ないので、制度の目的からも古物商許可が不要とされています。
古物商許可が不要な例として、ご自身の不用品の販売をオークションやフリーマーケットで行うケースが含まれていたことに安心された方も多いのではないでしょうか。ただし、次のような場合は注意が必要です。
不用品と偽って仕入れた古物を販売したり、不用品取引でも頻度や内容に偏りがある場合などは実態や営利性等に照らし、個別具体的に判断されて処分や処罰の対象となることもあるようです。
不用品に限らず反復継続して取引を行う予定であれば、古物商許可を取得したほうが安心であるといえます。
4.まとめ
第一回では、古物商の意味を知るために必要な語句と古物商許可制度の趣旨や、許可が必要か判断するための具体的なケースについて解説しました。
- 古物商とは、古物営業を営む者である
- 古物とは、中古品や使用のために取引された新品などである
- 古物営業とは、古物の売買、交換、委託販売、委託交換などである
- 古物商許可の制度は、盗品の流通防止と被害の回復のために制定された
- 古物商許可は、主に中古品を買って売る、修理して売る、部品取りして売るケースは必要
- 古物商許可は、主に新品の転売、自分の不用品販売、貰い物を販売するケースは不要
第一回は以上です。
今回の内容で少しでもお役に立てれば、非常にうれしく思います。
今後も情報を発信してまいりますので、よろしくお願いいたします。
次回は古物商許可が必要と判断した場合に、確認すべき重要事項を解説いたします。